2025/09/22 09:00

犬と暮らしていると、毎日のごはんのあとに「食器がなんだかヌメヌメしている…」と感じることはありませんか?
そのヌメヌメの正体は、犬の唾液に含まれる「ムチン」を主成分とする「バイオフィルム(細菌が作り出す膜)」です。

ムチンとは?


ムチンは、糖タンパク質と呼ばれる物質のひとつ。
たんぱく質の骨格に、糖(多糖類)が枝のように結合していて、水分を抱え込みやすく、ねばり気を生みます。

犬の口の中のムチンは、次のような大切な役割を担っています。

● 粘膜の保護:口の中をぬるっと覆って、乾燥や摩擦から守る
● 異物の捕捉:細菌やホコリ、食べかすをからめ取って、飲み込みやすくする
● 潤滑作用:食べ物をまとめて飲み込みやすくする

つまりムチンは、犬の体を守る「自然のバリア」のような存在です。
ヌメヌメ=汚れ、ではなく、本来は体に必要な働きをしているのです。


口の中と食器の上での違い

では、なぜ食器のヌメヌメは気になるのでしょうか。

● 口の中では…
 唾液が常に分泌・入れ替わっているため、ムチンの膜は更新され続けます。
 さらに、唾液にはリゾチームなどの抗菌成分も含まれていて、菌が増えすぎないように働きます。

● 食器の上では…
 一度付着すると入れ替わりがなく、ムチンの膜が停滞します。
 そこに食べかすや細菌が混ざると、細菌の温床(=バイオフィルム)になり、においや不衛生の原因になります。
 このバイオフィルムを犬が再び舐めとってしまうことは、衛生的にも避けたいところです。

 同じ「ムチン」でも、口の中では“守る存在”、食器の上では“不衛生のもと”になるという違いがあるのです。


ヌメヌメを落とすには

水で流すだけでは、ムチンがつくる膜はなかなか落ちません。
このとき役立つのが石けんの泡です。
石けんは、油汚れや粘膜状の成分を泡で包み込み、水と一緒にさらっと流すことができます。
だから、食器のヌメヌメも「キュッ」と気持ちよく落ちるのです。

一般的な食器用洗剤は油汚れに強く設計されていますが、犬の唾液のヌメヌメは性質が異なるため、洗剤によっては一度で落ちきらないこともあります。
そこで、よく使われる2つのタイプの洗剤を比べてみました。

● 合成洗剤:界面活性剤の働きで油汚れを効率よく落とします。
ただし、製品によっては洗浄力が強すぎたり、香料などがすすぎ残る可能性を心配する飼い主さんもいます。

● 石けん:天然由来の界面活性剤であり、油汚れとタンパク質汚れ(ムチンなど)の両方を乳化させて洗い流す効果があります。
一般的に、合成洗剤に比べて泡切れが良く、成分が残りにくいとされるため、ペット用の食器洗いに選ばれることがあります。


さらに強い洗浄成分は、犬や小さなお子さんが口にする食器では「成分の残りやすさ」が気になる方も多いでしょう。
だからこそ、泡が派手に立つかどうかではなく、“すすいだあとに本当にすっきりしているか” を大切にしたいのです。

「ヌメヌメ」をきれいに落として、今日も安心して愛犬と食卓を囲めますように。

そんな想いを込めた小多福堂の台所用石けんは、11月25日発売(予定)です。