2025/08/31 01:34

この記事は、「犬の皮膚を守る常在菌」について、飼い主として調べてみた記録です。
私自身も犬と暮らしていて、日々「これで大丈夫なんかな…」「あれ?なんか変?」と心配ごとを抱えています。

きっと同じように感じている飼い主さんも多いはず。
私が作る石鹸をどうすれば犬のためになるのかを考えるために、日々悶々としながら勉強しています。
(獣医さんになってたらよかった!なんて思うこともしばしばです…笑)

ここに書いているのは、専門家としての意見ではなく「飼い主として調べた学びの記録」です。
必ず獣医師の先生に相談しながら取り入れていただければ嬉しいです。


勉強のきっかけ

ふくちゃんが皮膚炎で「薬用シャンプー(ノルバサンシャンプーやマラセブシャンプー)」を処方されたことがありました。

「週に2回で洗ってください」と言われて、きちんと実践していたのですが──

ふと、「この強いシャンプーで、皮膚を守る菌まで減らしてしまうんじゃないか?」と心配になりました。

そして、薬用シャンプーを続けていた、ポチのことを思い出しました。

ポチは皮膚が弱くて、かゆみや赤みを繰り返していました。

病院ではいつも薬用シャンプーが処方されて、「しっかり洗ってあげてください」と言われていたので、

言われるままに続けていました。

でも正直なところ、症状は落ち着いたりまたトラブルが出たりを繰り返していて、

「なんでかな…?」「これでいいのかな…?」といつも不安だったんです。

石鹸を学ぶ中で出会った言葉が、『マイクロバイオーム』でした。

マイクロバイオームとは、皮膚や腸などにすみついている「常在菌たちの集まり」と、そのバランスのこと。

犬の皮膚にもたくさんの常在菌がいて、悪い菌の増殖を防いだり、皮膚のバリアを守ったりする役割を持っています。

この常在菌まで減ってしまうと、かえってトラブルが繰り返される──

そんな考え方が、海外では注目されているようです。

たしかに、ポチも皮膚トラブルを繰り返していました。

今になって思うと『常在菌のこと、あのときもっと知っていたら…』と感じることがあります。

だからこそ、いま私は『薬用シャンプー=治療』『犬用石鹸=日常ケア』と役割を分けて考えるようにしています。


マイクロバイオームとは?

「マイクロバイオーム」とは、皮膚や腸などにすみついている常在菌の集まりと、そのバランスのことを指します。

人間の体にも犬の体にも、たくさんの常在菌が存在しています。

皮膚の常在菌は、悪い菌の増殖を抑えたり、皮膚のバリア機能を守ったりする大切な役割を担っています。

イメージでいうと、皮膚の表面は「小さな森」のようなものです。

森には大きな木も小さな草もいて、それぞれが役割を果たすことで生態系が保たれています。

もし特定の植物だけが一気に増えたり、逆に消えてしまったら──森のバランスが崩れてしまいますよね。

皮膚も同じで、常在菌のバランスがうまく保たれていると健康を保てます。

でもバランスが崩れると、かゆみや赤み、炎症といった皮膚トラブルが繰り返されてしまうのです。


薬用シャンプーとマイクロバイオームの関係

皮膚トラブルがあるとき、獣医さんから処方されるのが「薬用シャンプー」です。

ノルバサンシャンプーやマラセブシャンプーは、強い洗浄・殺菌作用を持っていて、

皮膚炎やマラセチア菌などの悪い菌をしっかり減らすために使われます。

ただし薬用シャンプーは、悪い菌だけでなく、皮膚を守っている常在菌にも影響を与える可能性があります。


これは、森でいうと『間伐』に少し似ています。

木が密集しすぎると森が弱ってしまうので、間伐で一部を減らすことがありますよね。

私は、仕事で間伐の現場を取材したことがあります。

光が入って、風が通って、森が呼吸を取り戻す様子を見て、

『自然のバランスを整えるってこういうことなんやなぁ』と強く感じました。

必要な間伐は森を健やかに保ちますが、もし極端に木を減らしてしまえば、かえって森全体が弱ってしまいます。

皮膚のケアも同じで、薬用シャンプーは必要なときに必要なだけ使うことが大切なんだと思います。


学んだことのまとめ

ここまで勉強してみて感じたのは、薬用シャンプーも犬用石鹸も、それぞれ役割がちがうということです。

愛犬の皮膚を守るには、「治療」と「日常のケア」、それぞれの役割を理解し、うまく使い分けることが大切です。

・症状が落ち着いたとき → 獣医師と相談して薬用シャンプーの使用を止めたり、やさしい石鹸や「拭き湯」で日常の清潔を守る

・自己判断で「薬用シャンプーをやめる」「石鹸に切り替える」は危険

愛犬の皮膚を守るには、「治療」と「日常のケア」、それぞれの役割を理解し、うまく使い分けることが大切です。

「治療には薬用を、暮らしにはやさしい石鹸を」。

この使い分けの考え方が、愛犬の皮膚を健やかに保つ鍵になるのですね。

まだまだ勉強することが山盛りです。

これからも、学んだことを小多福堂のブログで少しずつシェアしていきますね。


参考にした書籍・資料

・『獣医師監修 犬の皮膚被毛ケアリスト認定講座テキスト』 一般社団法人 全日本動物専門教育協会

『トリマーのためのベーシック獣医学』 ペットライフ社

『イラストでみる犬の病気』 講談社

『獣医皮膚科専門医が教える 犬のスキンケア パーフェクトガイド』 EDUWARD Press

『犬と猫のためのメディカルハーブガイド』 林真一郎 著

参考にした海外記事

・ Is the Preservative in My Dog Shampoo Killing All the Bacteria in Their Skin Microbiome? – 洗浄剤の防腐成分と皮膚マイクロバイオームへの影響について解説。

・ How Bathing Your Dog Affects Their Skin's Microbiome – 頻繁な入浴やシャンプー頻度が皮膚の常在菌に与える影響を解説

・ Dog skin microbiome from tip to toe – 犬皮膚マイクロバイオームの最新知見をレビューした論文。

・ The skin microbiome on healthy and inflammatory altered canine skin determined by next generation sequencing – 健康な皮膚と炎症のある皮膚の菌バランスを比較した研究。