2025/06/11 01:50
春の終わり、ポチと河川敷を歩くと、風にふわっと混じる、あの甘くて、緑っぽくて、やさしい香り。
名前を知らなかった頃から、私は「白詰草(しろつめくさ)」の香りが好きでした。
ポチと暮らしていた頃、毎日歩いた河川敷にも、白詰草が群れて咲いていました。
草の中を、ふかふかと歩いていくポチの背中を、私は今でもよく思い出します。
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「この香りを、石鹸にできたらいいのに。」
ポチとのことがきっかけで作り始めた石鹸。
白詰草の香りの石鹸がほしいな、と考えるようになりました。
どこかで精油が採れたりしないだろうか。ずっとそう思って、調べてきました。
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昨日、香料会社の方とお話しする機会があって、思いきって聞いてみたんです。
「白詰草の精油って、ないんでしょうか?」って。
返ってきた答えは、
「抽出してみますか? でも、1キロの白詰草を集めるのは…なかなか大変ですよ。」
という、彼のユニークで職人魂そのもののお言葉でした。
そんな方に「できない」とは言われなかった。ってことはできるかもしれん。
でも、それを叶えるには
膨大な白詰草(45Lのゴミ袋5、6個分!)をかき集める根気と時間がいる。
しかも、早く抽出しないと、あのほのかな香りは消えてしまう。
これは…難しい。というか、一人ではできんなと、思いました。
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これまで、ハーブや花の精油をいくつも取り寄せて、
ブレンドしてみたり、草っぽさや蜜のようなやわらかさを組み合わせてみたり。
何とか再現しようとしてきたけれど、
どれだけ近づけようとしても、「あの香り」とは、やっぱり違うもので。
どなたか、ブレンドをご存知ないかなと、探してみたりもしています。
小多福堂のなかで、唯一精油を使っているこの石鹸。
でも、小多福堂では販売していません。
棚の奥に、そっと置いてあるだけ。
私はこの石鹸を、「神棚の石鹸」と呼んで祈ってます。
私がずっと「願う力」と「動く力」を両立させられますように!